バスについては、日本市場への適応も早かった。BYDが最初に導入したのは、日本では大型路線バスとなる全長12mの「K9」だったが、劉氏は導入後まもなく訪れた福島県で、12mでは大きすぎるうえに、ステップのある古い車体を使い続けていたことを目にした。
「高齢化社会にとって優しいとはいえない」と感じた同氏は、日本の地方に合った専用車種の開発を本社に打診し、実現した。これが車名にジャパンの頭文字を掲げた「J6」で、2021年に導入されている。

J6が加わったこともあり、BYDの電気バスは順調に台数を伸ばした。石井氏によれば、現在は北海道から沖縄県まで日本各地で走っており、台数は350台に達しているという。この数字は、日本の電気バスの7割強にのぼる。
すると、当然ながら現場などで乗用車についての質問が寄せられることになる。
「日本社会に何ができるか」を考えて
バスの台数が増えるにつれて、劉氏は「日本のクルマ社会に何ができるか」ではなく、「日本社会に何ができるか」と考えるようになり、乗用車も扱うことを決めた。それが、今回の説明会につながっているというわけだ。
今回の事業方針説明会では、少し前に発表されたクロスオーバースタイルのEV「シーライオン7」と、J6に続く日本専用電気バス「J7」をお披露目しただけでなく、プラグインハイブリッド車(PHEV)と電気トラックを導入すると発表。とりわけPHEVは話題になった。

ただし、世界的にEVの販売が停滞しているからと、PHEVを出したわけではない。BYDは2008年、世界で初めてPHEVを生産したブランドでもあるからだ。
東福寺氏は、2024年のグローバルでの販売台数でも58.5%と、PHEVが過半数を占めていることを紹介した。
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