
ジャガーの新しいコンセプトカー「TYPE 00」に対する賛否両論を見るにつけ、カーデザインの進化はつくづく難しいものだと実感している。
ドイツ車のようにブランドイメージをキープしながら時代にアジャストしていくのも大変だし、フランス車や日本車のように突然、新しいデザインを提案することも勇気がいるけれど、英国車がもっとも難しいのではないかと思うのだ。

英国は昔から、古いものを大切にし、変わらないことを好む国だといわれてきた。実際に国民がどう思っているかはわからないけれど、日本人のひとりとして見ると、そういう印象が強い。
だから、クルマでも「変わらないこと」をアピールするブランドが多かった。でも、それは固定客の声に応えたものでもあり、顧客の高齢化とともに数が減っていくことを考えると、新たなユーザーを取り込んでいく必要がある。
では、ジャガー以外の英国車のデザインは、どのような変遷を辿ったのだろうか。日本自動車輸入組合(JAIA)が主催する輸入車試乗会に参加したブランドの中から、いくつか取り上げたい。
「ミニ」にも紆余曲折があった
まずは「ミニ」だ。今はBMWのプロデュースで、プレミアムコンパクトの代表格として確固たる地位を築いているが、その前にも革新に挑んだ時代があった。

1950年代生まれのクラシック・ミニが、1970年代に入って旧態化が目立ってきたのを機に、当時のメーカーであるブリティッシュレイランド(BL)は、次期型の開発に入った。その結果生まれたのが「メトロ」だ。
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