EVだけじゃない中国「BYD」日本市場での本気度 テスラとは異なる戦略で「日本社会」を考える

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BYDの戦略や取り組みを話すビーワイディージャパン代表取締役社長の劉学亮氏(筆者撮影)
BYDの戦略や取り組みを話すビーワイディージャパン代表取締役社長の劉学亮氏(筆者撮影)

「そんなに昔から進出していた?」と思う人がいても不思議ではない。同社は2次電池メーカーとして30年前に創業しており、日本でも携帯電話などに電池を供給するために上陸していたからだ。

続いてBYDは2010年に、群馬県館林市にあるTMC(TATEBAYASHI MOULDING)を金型製作工場として傘下に収め、同社で作った金型を乗用車で使うことにした。

そして2015年に、まずバスの輸入を始める。その理由について劉氏は、「EVは公共交通から」と語った。

バスがEVになるメリット

EVというと、今でも航続距離の短さや充電時間の長さ、充電スポットの少なさが課題に挙がる。

しかし、仕事で決められたルートを走るトラックやバスでは、さほど気にならない。日本に輸入されているのは路線バスなので、なおさらだ。

むしろ、路線バスは低速・短距離の走行であるため、低回転で大トルクを出す電気モーターのほうがエンジンよりも効率がいいし、沿道の住民への騒音や排出ガスの影響を抑えられる点も大きい。

長野県小諸市で実際に運行されているBYDの小型バス(筆者撮影)
長野県小諸市で実際に運行されているBYDの小型バス(筆者撮影)

そして事業者にとっては、騒音や排出ガスを含めて、環境対策につながる点も忘れてはいけない。

日本でも、地球温暖化がさまざまな気候変動を及ぼしているが、乗用車を走らせる個人の自由を奪うわけにはいかない。そうなれば、企業がその責務を担っていくのは当然の流れだ。

日本の発電のおよそ7割は火力発電だから、「EVを走らせてもカーボンニュートラルにはならない」と主張する人もいるが、そんな人でも、多くの火力発電所が立地する風通しの良い海沿いでCO2を出すことと、住宅地で出すことの影響の差ぐらいは理解できるはずだ。

「EVは公共交通から」という言葉は、こうした状況を考えると、説得力のあるものに感じられる。

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