JR貨物列車に同乗取材「定時運行の敵」雪との戦い 青森―札幌間464kmを運転士が「たすきリレー」
DF200形を操って3097列車を函館貨物駅から東室蘭操車場(室蘭市)まで運転するのは長谷川良太運転士である。
点呼が始まった。当直長が長谷川運転士に線路の状況を説明する。「前を走る運転士から○○付近で雪が降っているという連絡を受けています。ブレーキ取り扱いに十分注意して運転してください」「××は時速45kmの徐行区間となっています」。当日の天候を踏まえた注意ポイントをお互いに共有する。私用スマホの電源がオフになっていることも当直長が確認した。
長谷川運転士は2017年にほかの会社からJR貨物に転じた。自然災害などにより貨物列車が長期運休すると道内経済が大きな影響を受けるという現実を知り、物流の重要性に気付いたのが転職の理由だという。「貨物列車の運転席には1人しかいないが、実はチームワークで運転しているのが運転の醍醐味」と話す。
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冬の運転は雪との戦い
「出発進行」――。3097列車は天候の影響で本州からの到着が遅れ、予定から8分遅れで函館貨物駅を出発した。朝日に照らされた北の大地はキラキラと輝いていた。「普通の人はこういう景色を見ると“きれいだな”と思うでしょうが、運転士にとっては信号が見づらいので困ります」。長谷川運転士が苦笑いした。
函館を出発すると七飯駅(亀田郡七飯町)で「仁山回り」「藤城回り」という2つのルートに分かれ、いったん大沼駅(亀田郡七飯町)で合流の後、再び「駒ヶ岳回り」「砂原回り」という2ルートに分かれ、森駅(茅部郡森町)で、ようやく1つにまとまる。つまり七飯―森間では、8の字のようなカーブ線形となっている。札幌方面に向かう貨物列車は「藤城回り」「駒ヶ岳回り」のルートで森に至る。
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