JR貨物列車に同乗取材「定時運行の敵」雪との戦い 青森―札幌間464kmを運転士が「たすきリレー」
その後も3分程度の遅延で走行を続け洞爺駅(虻田郡洞爺湖町)に到着した。ここでは後から来る特急列車を先に行かせる。まもなく特急列車が洞爺駅に到着し、3097列車を追い抜いていった。信号が青になり、洞爺駅は約2分遅れで出発した。
その後もダイヤ回復に努め、次の停車駅である伊達紋別駅(伊達市)には30秒遅れで到着した。30秒といえば分単位なら定刻だ。ようやく、ダイヤが元に戻った。
伊達紋別では対向列車の通過を待つ。そのとき、輸送指令から連絡が入った。「特急列車遅れのため、3分ほど遅れる見通しです。恐れ入りますがよろしくお願いします」。せっかく定時まで盛り返したのに、結局、東室蘭操車場の到着は予定から2分遅れの11時49分。函館貨物駅から東室蘭駅まで3時間42分の長旅だった。
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列車本数の多い千歳線
東室蘭から札幌貨物ターミナル駅までは機関車はそのままだが、運転士は交代となる。列車を降りた長谷川運転士に「今日の運転は何点でしたか」と尋ねると。「100点と言いたいところだが60点」という答えが返ってきた。「ダイヤどおりに到着できませんでしたから」。
最後の質問、「運転が終わってほっとしていますか」。長谷川運転士は「いいえ」と答えた。「3097列車が無事札幌に着いてようやくほっとできます」。貨物列車の運行が各区間を走る運転士たちのリレーによって行われていることを実感させる一言だった。
東室蘭駅から札幌貨物ターミナル駅へは別の貨物列車に同乗取材をする。前日の20時56分に隅田川駅(東京都荒川区)を出発した3059列車である。積荷は書籍、飲料、宅配貨物など。20両の貨車に搭載されている。12時58分に東室蘭駅を出て14時45分に札幌貨物ターミナル駅に到着予定だ。
東室蘭駅のホームで列車の到着を待っていると3分ほど遅れて3059列車が到着した。引き継ぎを済ませて瀬野尾行俊運転士が列車に乗り込み、出発した。
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