「トランプ2.0」に食われないための日本企業の心得 問題が起きてからのロビイングではすでに遅い

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

――トランプ2.0の通商政策が日本に与える影響をどう見ていますか?

まず日米関係全体についていうと、1期目のトランプ大統領は国際舞台でも経験豊富な安倍晋三首相(当時)を頼りにしていた部分があると思います。ただ2期目は当然、すでに4年間大統領を経験してからの就任なので、日本を頼りにする必要がない。その点は大きな違いです。

今回、同盟国であるカナダでさえ関税で狙われたということを考えると、日本も狙われるリスクは大いにあると思います。

ちなみに、トランプ大統領が経済関係の公平性を図る”ものさし”としているのが各国に対する貿易赤字の額です。日本もトップ10に入っており、2024年11月までの統計では7位でした。ある商務省の高官の話では、1期目のトランプ氏は商務省内の高官が集う会合で、毎回冒頭にこの貿易赤字ランキングを議題にしていたとのことです。

1期目でこれだけ徹底されていたので、2期目も同じことが行われるのではないかと思います。

問題が起きてからのロビイングでは遅い

――「トランプ2.0」によるマイナス影響をなるべく受けないよう、日本の個別企業の経営者ができることは?

日本の対米投資額は世界でもナンバーワンです。それをまず日本政府として強調していく必要がありますが、日本の個別企業も同様に、どの州でどれだけの雇用を創出しているか、どれだけ経済に貢献しているかのデータを準備し、アメリカ政府・議会関係者、各州の州知事や州政府関係者につねにアピールしていく必要があります。

関係を構築することによって、いざというときに助けてくれる仲間ができます。現政権下でいえば、とくに共和党が強い州の州知事などは、こちらが困ったときにトランプ大統領に働きかけてくれる可能性があります。

これはトランプ政権に限ったことではありません。いざ問題が起きてから助けを求めても誰も動いてくれない、ということはよく聞かれます。常日頃、関係を構築しておく努力が重要になります。

ワシントンでよく言われるのは、「テーブルについていなければ(ロビイングで関係構築をするような場にいなければ)、あなたの企業はメニューに載っている(食べられてしまう)」ということです。

つねに関係構築の場にいて主張していない場合は、政権や議会によって攻撃される。あるいは、競合他社などの力によって自社に不利な内容が法案に書かれる。そういった動きはアメリカでは日常茶飯事なので。やはりワシントンにおける活動は重要です。

撮影・編集:田中険人
二階堂 遼馬 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

にかいどう りょうま / Ryoma Nikaido

解説部記者。米国を中心にマクロの政治・経済をカバー。2008年東洋経済新報社入社。化学、外食、ネット業界担当記者と週刊東洋経済編集部を経て現職。週刊東洋経済編集部では産業特集を中心に担当。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事