【産業天気図・半導体】全体基調強く「晴れ」。ただビスタ低調で「快晴」まではいかず

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半導体動向は全体基調は強いが、米マイクロソフトの新OS(基本ソフト)「ウィンドウズ・ビスタ」の低調が長引き、07年度は「晴れ」どまりといったところか。 
 携帯電話や携帯音楽端末などのアプリケーション(応用製品)の拡大、次世代ゲーム機、新型DVD機などの高付加価値化により、DRAMやNANDフラッシュメモリの搭載容量は引き続き拡大しそうだ。07年度後半には08年の北京オリンピックに向けた需要拡大も期待される。
 ただ、ビスタが期待の高さほど売れていないのが気掛かり材料。電気機器・半導体調査を手掛ける米アイサプライ社のデリック・リドゥー会長は「今年末までにビスタ効果が出るという見方は楽観的過ぎる。ビジネスをスピードアップするなどの効果があまり見込めないからだ。ビスタがなくてもビジネスは回る」と手厳しい。
 事実、DRAM価格は年初から3割も下落している。うち2割は季節要因による下げだが、1割はビスタが期待外れだったことによる一部メーカーの投げ売りによるものと見られている。DRAM専業メーカーのエルピーダメモリ<6665.東証>は回路の微細化で先行し、価格下落を生産性向上でかわす構えだが、年明け以降の急激な下げには、さすがに対応しきれていない模様だ。
 東芝<6502.東証>が社運を賭けるNANDフラッシュメモリも、見通しは、そう明るくはない。アプリケーションがどれだけ広がるかにもよるが、07年度も相応の価格下落を覚悟する必要がありそうだ。
 一方、半導体製造装置に目を向けると、半導体各社の設備投資意欲が依然旺盛なため、07年度も好調に推移する可能性が高い。半導体製造装置の需給動向の先行指標となる新川<6274.東証>の受注見通しでは、07年度は出足から受注が高水準となりそうだ。国内最大手の半導体製造装置メーカー、東京エレクトロン<8035.東証>のエッチング装置は生産が追い付かない状況で、同社は約10年ぶりに新工場建設を決めた。
 とはいえ液晶関連装置が多いメーカーは客先の在庫調整や投資手控えが長引く恐れがあり、注意が必要。アドバンテスト<6857.東証>は薄型テレビ向けの落ち込みが想定以上で、06年度は営業減益となる見通し。07年度にどこまで薄型テレビ関連が回復してくるかは、予断を許さない。FPD製造装置が主力のアルバック<6728.東証>は、08年6月期前半の在庫調整入りを想定している。
【山田雄一郎記者】


(株)東洋経済新報社 会社四季報速報プラス編集部

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