「今まで『ありがとう』と言われたのはどんなとき?」「人から喜ばれてうれしかったことは何?」「自分ががんばって、いい結果が得られた経験は?」「あなたの親友は、あなたのどんなところが好きだと思う?」と、プレッシャーにならないように気をつけながら、質問を重ねて絞り出してもらいましょう。
仕事から離れてプライベートでのことでもいいし、なんなら子どものころのことでもいいので、自分の「いいところ」を見つけてもらってください。
「貢献」や「がんばり」に光を当てる
大事なのは「自分なんか」と自己否定している人が忘れてしまっている、今までの貢献や努力に改めて光を当ててあげることです。あなたは否定されるべき存在ではないと気づいてもらうこと、そのままで価値のある存在だとわかってもらうことです。
実際にやったこと、行動したことなら、間違いなくその人の持つ素養が活かされています。その効果や貢献には誰も疑いを挟む余地がありません。
私のクライアントにも、「私なんて」と口癖のように言う方がいました。しかし、お話を聞いていると、ご家族をとても大切にされていることや、仕事でも仲間のことを第一に考えて動いていらっしゃることが伝わってきました。
だから、「娘さんは、とても頼りになるお父さんだと思っているはずですよ」「あなたのその行動が、チームのためになっていると思いますよ」と率直に、何度もくり返し伝えたのです。
すると、その方は次第に「私なんて」と言わなくなっていきました。また、仕事でも目覚ましい成果を上げられるようになりました。
その人の「いいところ」を、その人自身に認識してもらえるような質問をして、出てきた答えに、「私もそう思いますよ」と、相手を認めるひと言をつけ加える。これによって、その人の自己肯定感をさらに高めていく作用が期待できるようです。
高く設定しすぎていたハードルをぐんと下げて、自分の行動を見直してみたら、自分にも「いいところ」がたくさん見つかった――。自己肯定感を高めていくために、いい流れでここまできました。
もっとも、たちどころに部下の意識が変わり、急激に自己肯定感が高まるというわけではなく、「自分にも価値があるようだ」と気づき始めて、ようやくスタート地点に立ったような状態です。
そこから一歩踏み出し、さらに自己肯定感を高めて、積極性や主体性、自走力をどんどん育んでもらうために、上司としてもうひと押ししておきましょう。
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