ガイトナーの金融危機対応は正しかったのか

リーマンショックの真相

アメリカ・ウォール街
“私たちは一線を引いたのではなかった。私たちは怖れを知らないのではなく、力がなかったのだ。壊滅的な破綻を防ごうとして失敗したのだ。”

 

アメリカ史上最大規模となったリーマン・ブラザーズの破産申請を、2009~13年に米国財務長官を務めた『ガイトナー回顧録 金融危機の真相』の著者、ティモシー・ガイトナーはこう振り返る。しかしながら、当時のマスコミの多く、左派の《ニューヨーク・タイムス》から右派の《ウォール・ストリート・ジャーナル》までが、モラル・ハザードを防ぐためにはリーマン破綻は良い選択だと反応した。そして、リーマンを“救わなかった”のではなく“救えなかった”のだという事実や、ガイトナーが何を恐れ、何を望みながら金融危機に立ち向かったのかという背景は、今でも理解されていない。

彼はなぜ口を開いたのか

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マスコミの前でしゃべることを好まなかったガイトナーが、危機対応の全容を600頁超の本としてまとめあげたのは、世界規模の金融危機にはどのような規制が有効だったか、監督機関にはどんな権限が必要なのか、押し寄せる無数の課題にどのように優先順位をつけたのか、そして現実の政策がどのように決断されているのかを多くの人が知ることこそが、次の危機への備えとなると考えているからだ。

リーマン破綻に端を発した世界金融危機については、規制当局・金融機関当事者やジャーナリスト、経済学者などによる書籍も多数出版されているが、最前線で指揮を執ったガイトナーだからこそ知り得たこと、見えていたものも少なくない。

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