日本株は「米国利上げ見送り」なら上がるのか 市場は「中国リスク」を過小評価している

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人々を威圧するように立つ中国の高層マンション。最近は食料品のデリバリーなどサービス面をウリにする業者も多いが、販売の実態はどうなのか(写真:ロイター/アフロ)

「上値の重さを再確認」。これがFOMC(米連邦公開市場委員会)を控えた16日の日本株の印象である。日経平均株価の終値は確かに1万8171円と前日比145円上昇した。だが騰落レシオ低下や高水準の空売り比率を背景に、買い戻し主導での自律反発にとどまった。もちろん、18日未明に発表されるFOMCでの政策決定への関心が高まっているわけだが、それ以上に重要なポイントがある。

顕在化しつつある中国リスク

FRB(米連邦準備制度理事会)がどんな政策決定を行うのか、市場の関心は一点に絞られたかのようだ。しかし、今回のFOMC以上に影響が大きいのは、むしろ中国の実態ではないだろうか。

思い起こせば、サブプライムショックの際は、ベア・スターンズがつぶれ、その後のリーマンショック(2008年)によって、暴落相場に発展した。しかし、2007年初めの時点では、このような惨事になるとはほとんど誰も予想できなかった。

大きな調整が起きる際には、必ずその原因が存在する。中国が悪い経済統計を隠すこともせず出し始めているのはなぜだろうか。「もう隠し切れない」と考えたのか。

いずれにしても、中国の景況感は相当悪い。この点を過小評価すると足元をすくわれるかもしれない。特に不動産業界の停滞は深刻なのではないか。住宅販売は増えているが、北京などの大都市が中心であり、地方都市での販売の実態はよくよく注意する必要がある。

というのも、8月のセメント生産量は前年同月比で4.2%減、平面ガラスは同12.1%減、粗鋼は同3.5%減となっており、これらの数値から見ても不動産開発の低迷が推測できるからだ。

不動産業界の不振を補うため、政府は鉄道など公共投資の拡大で需要喚起を図っているが、十分な効果は上がっていないもうようだ。

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