三菱商事「522億円減損」で洋上風力は曲がり角 3年前の安値での「総取り」から環境が激変

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すでに事業が走り出している第1ラウンドから第3ラウンドのプロジェクトについても、計画変更時点から着工までの物価動向を売電価格に反映できるルールが議論されている。

中西社長が言ったプロジェクトの事業性再評価は、こうした制度変更もにらみながらとなるが、新たなスケジュールが示されるまでにはそれなりの時間がかかりそうだ。

不安を隠せないのが、基地港湾を核とした産業誘致や地域振興の期待を抱いている地元自治体だ。

1月着工予定の工事も始まらず

秋田県では能代市沖と由利本荘市沖の2海域で2026年3月に陸上側で着工予定だった。

2月6日の夕方に三菱商事洋上風力の現地幹部が県庁を訪問、「ご心配をおかけして申し訳ありません」と陳謝した。県庁の担当者は「撤退は想定していないが、地元業者にも影響は大きい。早く新しいスケジュールを出してほしい」と話す。

千葉県銚子沖のプロジェクトは今年1月に陸上側で着工予定だったが、いまだ工事が始まっていない。「道路工事を請け負う地元の土木事業者の作業が止まっている」(県庁担当者)といった影響が、すでに出始めているという。

「来年度以降に追加損失が出ても業績への影響は限定的」と中西社長は言う。しかし地域創生を掲げ、漁業支援や地域産業の振興をうたった三菱商事を信じて地元はすでに動き出している。地元の不安払拭のためにも、一刻も早いプロジェクトの立て直しが求められる。

森 創一郎 東洋経済 記者

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もり そういちろう / Soichiro Mori

1972年東京生まれ。学習院大学大学院人文科学研究科修了。出版社、雑誌社、フリー記者を経て2006年から北海道放送記者。2020年7月から東洋経済記者。

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