三菱商事「522億円減損」で洋上風力は曲がり角 3年前の安値での「総取り」から環境が激変

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

記者から「撤退の可能性」についても質問が飛んだが、中西社長は「現在、事業性の再評価を行っており、予断を許さず総合的に判断する」と答えた。

三菱商事が総取りした第1ラウンドは固定価格買取制度(FIT)のもとで入札が行われた。電力会社が電力を買い取る固定価格として、上記のように11.99~16.49円と「約束」してしまっている。

一方、風力発電機材の材料となる鉄鋼価格は2020年比で2倍以上に、風車自体の調達価格は1.5~1.8倍に上昇している。どう考えても収支は成り立たない。

三井物産は「事業はしっかりと進める」

これに対して、三井物産や住友商事、丸紅が落札した第2ラウンド、第3ラウンドはフィードインプレミアム制度(FIP)を前提にしている。

卸売市場の売電価格に国がプレミアム(補助額)を上乗せする制度で、市場への売電に加え、事業者が独自に環境価値を重視する売電先を開拓し、相対で売電価格を決めることができる。

2月4日の決算会見で三井物産の重田哲也CFOは、「建設費高騰や為替影響など困難に直面しているが、事業はしっかりと進める。売り先との交渉で決める売電価格が採算性確保のうえで重要になる」と語った。

政府は2025年度中にも公募が始まる第4ラウンドの入札では、公募開始時から投資決定までの価格変動分を40%まで売電価格に反映できるようルールを改める。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事