ドイツ総選挙・極右と極左の2人の女性党首に注目 2月23日投票、AfDとBSWはどこまで躍進するか
もう1人注目を集めているのが、2024年に設立された新党であるザーラ・ヴァーゲンクネヒト同盟=理性と公正のために(BSW)の党首ザーラ・ヴァーゲンクネヒト(1969年~)である。
この政党は、「左翼党」(リンケ)から分離した極左政党だ。その党首であるザーラは、党の名前に自らの名をつけたのだ。日本の石丸新党の「再生の道」に似ている。しかし、ザーラは革新的マルキストで、党は新しいマルキストの党とでもいえるものである。
革新的マルキストの新党党首
ザーラもアリス同様、博士号を持つ高学歴者だ。彼女は、修士課程でマルクスのヘーゲル批判に関する修士論文を書いていて、これは出版されている。『頭から足へ』(1997年)というタイトルで興味深い論文だ。
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マルクスの『経済学・哲学草稿』のヘーゲル批判を後期のマルクスから読み直すことで、マルクス主義をエンゲルスの呪縛から解き放とうというものである。
彼女は左翼党にいたのだが、2024年に新しい政党をつくり飛び出した。すでにSPDはマルクス主義を放棄した政党だが、左派党のマルクス主義も彼女にはいただけないと思われたのであろう。
J・カールの『ヴァーゲンクネヒト党』(2023年)の冒頭では、マルクスの『共産党宣言』の冒頭の文章をとってこう述べられている。「ドイツでひとつの亡霊がさまよっている。それはザーラ・ヴァーゲンクネヒト党という亡霊である」と。
彼女も、旧東ドイツのイエナ出身である。彼女は資本主義批判と社会主義を提唱している。
今やザーラも、アリスほどではないが注目された存在になっている。この政党を極左政党だとすれば、極右政党とともにドイツに存在する経済的不平等を憂えているのだ。
AfDが自由主義とドイツ主義でそれを実現しようと考えるのに対し、経済的平等を、資本主義への社会主義的国家干渉という手段によって実現しようというのである。
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