ドイツ総選挙・極右と極左の2人の女性党首に注目 2月23日投票、AfDとBSWはどこまで躍進するか
それによると、ドイツキリスト教民主同盟(CDU)は30%であり、現在の与党であるドイツ社会民主党(SPD)と緑の党はそれぞれ17%、14%である。すでに政権を揺るがす位置にいるといってよいだろう。
もちろん、政権をとることは難しいだろう。おそらく、メルケル最後の政権の時のように、SPDとCDUの大連合が再来するかもしれない。ドイツは1党が過半数をとることのない国であり、いずれかの党との連立しかない。そうなるとAfDの議席数は、大きな台風の目になることは間違いない。
こうした拡大の背景には、アリス・ヴァイデルの存在も大きい。硬直的な保守的思想の持ち主ではないアリスには、ソフトなイメージがつきまとう。それは彼女は政治家よりも、官僚あるいはビジネスウーマンに似ているからである。
旧東ドイツ住民からの支持で拡大
ヴァイデルの一族は、第2次世界大戦後のポーランドのシレジアから追放されてドイツにやって来た。その意味で東の匂いがする。
AfDは2013年に創設された新しい党であり、反ユーロ主義から次第に反移民政策やドイツ民族主義へと進んでいった党だが、その発祥の地は旧東独のドレスデンであり、そこから次第にドイツ全土に拡大していった。
1990年の東西ドイツ統合の後、経済的不平等を抱える旧東ドイツでこの党が伸びたのは当然のことだった。旧東ドイツという弱い経済力、ドイツでありドイツでないという負い目、東から押し寄せる移民、これらが不満として今も爆発しているのである。2024年9月1日に行われた東ドイツ地域での選挙でも大幅に躍進していた。
アリスをAfDと結びつけているのは、移民政策だ。とりわけ年金システムの問題である。その意味でアリスへの人気はドイツ経済復興と結びついていて、極右の愛国主義や移民排斥運動に基づいているわけではない。その意味で、多くの票を得られるともいえる。しかし、そのぶん、本来のAfDと折り合いがどこまでつくのかが問題だ。
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