2030年代に起きる相続税で"世帯崩壊"の深刻度 23区の「5人に1人」が相続税を課されている

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この20年間を振り返るに、比較的マーケットでの流動性が確保されているはずの首都圏においても大量の空き家が発生しているということは、家が余り始めていることを如実に示すものです。

大量に発生することが予想される「二次相続」

2030年以降、首都圏では大量の相続予備軍が存在します。特に高齢者単独世帯は激増しています。単独ということは、同居をしている人がいないことを意味します。つまり相続で言えば、夫婦のうちの片方が亡くなる「一次相続」はすでに行なわれており、残されたもういっぽうの方が亡くなるという「二次相続」が大量に発生していくことが想像されます。

一次相続の時には、夫婦のいっぽうが残されますので、引き続き家に住む、あるいは高齢者施設に入所しても家は時々帰って住む、物置として使う、などして残すことが多いのです。

また一次相続の場合は、相続税評価額を算定する際に特典があり、相続税を課されるような家はあまりありません。具体的には、配偶者特別控除と小規模宅地等の特例の2つです。

配偶者特別控除は配偶者が存命の場合、相続税評価額から一律で1億6000万円を控除できる制度で、多くの世帯がこの控除額を利用すれば、相続税を課税されなくなります。さらに自宅については小規模宅地等の特例措置が適用され、330㎡以下の住宅用敷地に関しては、相続税評価額を20%とする、つまり80%圧縮(減額)評価されます。都内の戸建て住宅が実家であっても、この2つの特例があれば多くの相続人は、一次相続のケースでは相続税を課されるケースは稀になるのです。

ところが二次相続が発生すると事態は深刻になります。配偶者はすでに亡くなっていますので、配偶者特別控除はそもそも利用できません。また多くの実家では、相続人に該当する娘や息子が同居していることは少なく、小規模宅地等の特例が適用されません。一次相続では配偶者が亡くなって住むところを相続税の支払いなどで売却せざるを得なくなるのを防ぐ意味で、特例があるのですが、相続人が一緒に住んでいた事実がないのならば、特例は適用されません。

この2つの特例が使えない二次相続においては、たとえば世田谷区内に一軒家があって、多少の預貯金があり、相続人が子供1人など少数の場合には、かなりの確率で課税対象になってしまいます。

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