今の与党に加えて3党目の連立与党になりたいのならいざ知らず、支持率が必ずしも高くない石破内閣に加担することで、「野党の立場だからその政党を支持した」という有権者からの支持を失いかねない。
そうみれば、与党と予算案の修正に合意するとしても、予算案の衆議院での採決直前のかなり土壇場になってからにしか合意は成立しないだろう。
ただ、土壇場になってからの合意では、予算案の成立が遅れることになる。予算案は修正するとしても、修正作業には少なくとも1週間はかかる。また、修正する規模が大きくなればなるほど、修正作業は時間がもっとかかる。加えて、兆円単位での予算案の修正は、前例がない。
しかも、予算案の修正が、単に金額だけの修正ならまだしも、新たな施策を2025年度から実施するために予算案を修正するとなると、その施策の実施体制を整える準備も必要となる。単に予算案で金額さえ盛り込めれば実施できるというものでは決してない。
実施体制を整えるためには、その体制整備のための議論も必要で、国の直轄事業でないなら、地方自治体にも協力を仰がなければならず、1週間やそこらで決着をつけられるものではない。
東日本大震災も、コロナも「ひとまず成立」だった
だとすると、予算案の修正というより、2026年度以降の実施とか、2025年度途中で施策の実施体制も整えつつ補正予算で対応する、といった妥協案を一部の野党に提示して合意する代わりに、予算案についてはひとまず修正なしで衆議院で賛成する、という可能性が考えられる。
予算案をひとまず修正なしで成立させた後に、補正予算で実質的に当初予算を修正するという前例はままある。
東日本大震災の発災直後も、新型コロナウイルス感染症の感染拡大初期も、そうだった。民主党の菅直人内閣が2011年1月24日に2011年度予算政府案を国会に提出し、3月1日に衆議院で可決した後に東日本大震災が3月11日に発災した。震災復興の予算が必要なところだが予算案は修正されず、衆参ねじれ状態の中で、3月29日に参議院で否決されたものの衆議院の議決をもって国会の議決となり年度内成立した。
その後、4月28日に震災復興予算を盛り込んだ2011年度第1次補正予算を国会に提出し、5月2日に可決成立している。
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