元来、シリコンバレーは民主党びいきが多く、IT業界のトランプ支持者と言えば以前はピーター・ティール氏くらいであった。それが今では、門前市をなすがごとく「トランプ詣で」が続いている。
かつてトランプ氏のFacebookアカウントを抹消したメタのマーク・ザッカーバーグ氏は、「ファクトチェックのやり方を変えます」と言ってすり寄ってきた。アマゾンのジェフ・ベゾス氏は、ワシントン・ポスト紙のオーナーを兼ねているが、同紙の論説記事がカマラ・ハリス候補を支持することを強権発動で撤回させている。もっともアップルやマイクロソフトなどの「古株」IT企業は、まだ政治とは距離をおいているようである。
テック・ジャイアンツの変わり身の早さは「合理的選択」
テック・ジャイアンツがトランプ氏の軍門に下るのは、情けない光景ということもできるが、彼らの身になってみれば合理的な選択でもある。トランプ氏は、①大変なワンマン体質で話が早く、②敵味方を峻別するタイプで、敵に回るとろくなことはなく、③以前は対立していても、謝れば許してくれるのである。JDヴァンス副大統領、マルコ・ルビオ国務長官が以前は「反トランプ」であったにもかかわらず、今や政権のナンバーツーとスリーを占めていることが何よりの証拠であろう。
だったらテック業界の巨人たちも、最高権力者にすり寄るのが得策となる。何しろ究極のトップダウン体質であるから話が早い。彼らは日本企業の社長のように、「ちょっと待って、財務部長に相談してから……」などということがない。一緒に「これで行こうや」と意気投合すれば、それですべてが決まってしまうのだ。
トランプ氏とテック・ジャイアンツは、トップダウン経営者という「似た者同士」であるだけに、一度、わかり合えると話が早い。しかもトランプ氏はAI開発、宇宙開発、暗号資産などに意欲的で、彼らからみて「おいしいネタ」を支援してくれるのだ。
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