あれから1年「能登半島地震」で見えた"洗濯問題" 衣類の汚れや臭いは「被災者の精神的な負担」に

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災害時の衣生活は大きく制限されます。その負担を軽減するためには、平時からの衣生活を見直しておくことが重要だと考えます。

衣生活の負担を減らすには何が必要か?

具体的に見直すべき点は、以下の3つです。

●洗濯にかかるコストを正しく認識する

普段から洗濯が適当だと汚れが十分に落ちず、衣類が早く劣化し、本来ならもっと長く着られるものを短期間で捨ててしまうことになります。

一方で、正しい洗濯を実践していれば、「しっかり洗えば汚れは落ちる」「大切な衣類を長く使える」という経験が積み重なり、災害時にも限られた衣類を清潔に保ちやすくなります。

この習慣があれば、「洗えばまた着られる」という意識が働き、不必要に服を捨てることが減ります。

今回の地震では、避難所に家庭用洗濯機が設置されたり、ランドリーカーが導入されたりしました。しかし、家庭用洗濯機は節水仕様が進みすぎており、汚れが十分に落ちにくい状況です。また、コインランドリーの洗浄時間も短すぎる設定になっており、十分に洗えていません。こうした設定は、平時から見直すべき課題です。

また、「洗濯だから」といって飲用に適さない水(山の水や雪解け水、残り湯など)を使用すればよい、という意識も改める必要があります。これらは、衣類の嫌なニオイ、黄ばみ、黒ずみの原因となります。

多くの人が求める「嫌なニオイがしない」「元の色が変わらない」といった品質を確保するためには、水の品質や使用量、洗濯機の設定を適切にすることが必要です。

「1回の洗濯にかかる水の量やすすぎの回数が多いとコストが高い」と考える人もいますが、長期的に見れば、そのコストは決して無駄ではありません。

たとえば、洗わずに1度で捨ててしまう衣類も、適切に洗えば繰り返し使えます。これにより、被災時の物資の不足を防ぎ、災害ゴミを減らし、結果的に被災地全体の負担やコストを軽減できます。

特に災害時は、洗濯できないからといって衣類を使い捨てると、限られた物資がすぐに不足し、大量の災害ゴミが発生する原因になります。そのため、衣類を「洗って再利用する」ことの重要性は、平時以上に増します。

●現代の衣生活の多様化とファッション性を理解する

現代の衣生活は豊かで多様化しており、意識しなければその変化に気付きにくいものです。

現在、皆さんが着ている衣類を、衛生的に保ち、よい状態を維持するためには、衣類に合わせた適切な手入れが必要です。そのため、洗濯機やコインランドリーだけでは不十分で、クリーニングが必要な衣類もあります。

普段から、生活の一部としてクリーニングを利用する習慣を持つことが重要です。そして、災害時にもプロによる洗濯支援が必要であることを、当たり前の認識として持つべきです。

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