あれから1年「能登半島地震」で見えた"洗濯問題" 衣類の汚れや臭いは「被災者の精神的な負担」に

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断水地域で洗濯物を預かる様子(写真:筆者提供)

本記事では、災害時における洗濯支援の必要性や課題、そして平時からできる衣生活の備えについて考えていきます。

災害で洗濯支援がなぜ必要なのか?

災害時は、断水や停電の影響で洗濯ができなくなることもあります。衣類は生活に不可欠ですが、着用すれば当然汚れがつきます。汚れたままでは気持ちよく過ごせず、気分も落ち込みます。

避難所では多くの人が限られたスペースで生活しており、個別に洗濯設備を確保するのは現実的ではありません。汚れた衣服は雑菌やカビの温床となり、皮膚疾患や感染症のリスクが高まります。さらに、汚れや臭いは、被災者の精神的な負担にもつながります。

トイレカーや自衛隊の入浴支援は、これまでの災害経験を踏まえて迅速に派遣されるようになりました。しかし、衣類の衛生管理に関しては依然として見過ごされています。

ある避難所では、被災者の方の次のような声を聞きました。

「自衛隊のお風呂に入って体はきれいになったけれど、また汚れた服を着ないといけないのがすごく嫌だった」

清潔な衣服を着ることは、現代の生活に欠かせない要素の1つです。これは、災害時であっても同様に重要なことなのです。

当初、筆者らは下着や肌着、シャツ、ズボン、タオルなど、日常で洗い替えが必要な衣類を想定して支援に入りました。しかし、避難所で洗濯物を受け付けている際に、ある高齢の男性から「このセーターを洗ってほしい」と頼まれました。

そのセーターはクリーニングが必要なもので、筆者らは「申し訳ありませんが、対象外のアイテムなのでお預かりできません」とお断りしました。すると、その男性は「なんだよ、セーターは洗ってくれないのか」と、不満を口にしたのです。

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