あれから1年「能登半島地震」で見えた"洗濯問題" 衣類の汚れや臭いは「被災者の精神的な負担」に

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災害時には、自宅の洗濯機が使えなくなるだけでなく、地域のクリーニング店も営業できなくなることがあります。実際に、能登半島地震ではクリーニング店が被災したため、一時的に地域で営業できるクリーニング店がなくなってしまいました。

ある女性は、「子どもの卒業式のために、倒壊した家からスーツを取り出したけれど、クリーニング店が営業しておらず、シワシワのまま出席するしかなかった。本当に悲しかった」と話していました。

たとえ災害時でも、色や形が整ったきれいな状態で服を着るシーンが必ずあるのです。

使い捨て前提で消費されていく衣類

DSATが最初に支援に入ったのは、石川県七尾市の100人ぐらいが避難していた避難所でした。

100人から1人10点の洗濯物を預かれば、1000点になります。そんな大量の洗濯物を洗ってその日にお返しするなんて、果たしてできるだろうか。そんな若干の不安を持ちつつ、避難所で洗濯物を回収したのですが、ふたを開けてみれば、20人ほどから約300点の洗濯物をお預かりするにとどまりました。

なぜなら、支援に入ったのは発災からすでに3週間ほど経った1月21日。その間、汚れたままの服を着続けることを許容できる人はいないでしょう。ほとんどの人はできる限り着続けて、汚れたら捨てるという対応をしていました。

災害が起こると、被災地に水や食料など、さまざまな物資が送られます。衣類もそうです。下着や肌着を中心に、新品の衣類が大量に送られてきますが、それらは使い捨て前提で、消費されていく対応になっていました。

被災地には、多くの古着が、送られてきているのも目にしました。

これらの古着は着られず、そのままになっている場面を見ることも少なくありませんでした。1つは薄汚れているように感じること。もう1つは自分の年齢や好みに合わないこと。これらが原因です。

避難所に送られてきた古着(写真:筆者提供)
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