ラジオでタレントが「自身のこと」を話し始めた訳 「ハッシュタグ」で大きく変わった番組の作り方

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この構造を激変させたのがSNSでした。

SNSでは、Twitterが「つぶやき」という言葉を使っていたことに象徴されるように、忖度のない素の感想が世の中に向けて発信されます。

「面白い」も「つまらない」も全部フラットに見られるようになったのです(なお、「今日の〇〇、いつもよりつまらないなー」とわざわざ投稿してくれるリスナーさんからも、僕は番組愛を感じております)。

「リスナーは基本的にほめることが多い。ネガティブな意見はなく、ポジティブな賞賛しかないから、本当の意味で参考になりにくい」という考えから、番組メールをなるべく見ないようにしているディレクターも多かったです。

しかし、SNSで率直な感想が可視化されるようになってからは、積極的にリサーチに活用するように。リスナーが一番近くにいるファンであり、仲間。さまざまな社内事情などで番組の方向性がズレそうになったときにも、的確なアドバイスをくれる貴重な存在です。

一方で、熱心に発信するコアリスナーの声に寄り過ぎるのも、初めて聴くライトリスナーを遠ざけたり、番組として新たなチャレンジがしづらくなったりする危険性にもつながります。

あくまで客観的に、1つの指標としてバランス感覚を持って受け取る意識が大事だと感じています。

リスナーの意見がわかる「番組#」

いずれにせよ、リスナーの意見の重要性は格段に増しました。これを効率的にキャッチする方法として導入したのが、「日本語による番組ハッシュタグ(#)」です。

自分自身のきっかけとなった番組は、2015年4月からディレクターとして担当した「オールナイトニッポンサタデースペシャル大倉くんと高橋くん」でした。

福山雅治さんの放送枠であった土曜日の23時30分からの時間帯を受け継ぐ形で、大倉忠義さんと高橋優さんをパーソナリティに迎えて番組を始めたときに、番組の情報を発信する際に使うハッシュタグを「#大倉くんと高橋くん」で統一したのです。

それまでも番組共通のハッシュタグは決めていましたが、2010年代前半は日本語のハッシュタグが使えず、アルファベットや数字で決めるのが一般的でした。

たとえばオードリーなら「オールナイトニッポン」の頭文字annと、春日さんのk、若林さんのwを組み合わせた「#annkw」など、アルファベットで統一していたのですが、パッと見たときのわかりづらさが課題だと感じていました(といいながら、オードリーは定着しているので、今でもこのままです)。

そうしたなかで、2014年4月から1年間放送された「ラブレターズのオールナイトニッポン0(ZERO)」は、溜口さんのカリスマキャラを際立たせるために番組のハッシュタグを「#カリスマラジオ」にしていたのです。

これを見て、漠然とアルファベットだけでなく、日本語が使えるようになったのかと感じていました。

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