「中居・フジテレビ問題」で目立つ政界の"及び腰" 総務相「迅速な調査」要求も、踏み込んだ対応なし

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さらに、退官直後の2020年9月には、当時の菅義偉内閣のもとで女性初の内閣広報官に就任。しかし、総務審議官時代に菅氏の長男が勤めていた放送事業会社『東北新社』から、一晩に7万4203円という高額接待を受けていたことが、これも『週刊文春』の報道により発覚して大きな批判を浴び2021年3月に内閣広報官を辞任している。

そんな経歴を持つ山田氏のフジへの「天下り」については、「放送を巡って問題が起こった際、テレビ局は総務省から追及される立場なので、放送行政トップの情報流通行政局長経験者は調整役として貴重な存在」(フジ関係者)との位置づけで、「山田氏はフジ・メディア・ホールディングス取締役とフジテレビ社外取締役も兼務している」(同)のが現状だ。

これに関連して、元内閣官房参与で中央省庁の情報に詳しい高橋洋一氏=「政策工房」会長=は23日にJ-CASTニュースで、フジ社長の会見について「なぜこんな無様な社長会見になったのか。いずれにしても、フジグループ自体がグダグダだ。本体が酷ければ、周りでサポートしなければいけない」と厳しく指摘。

その上で「監督官庁の総務省はどうなっているのか。村上総務相はやや距離を置いているようだが、それもそのはずで、総務省からは、フジグループに対し複数の天下りがあり、筆頭格は山田真貴子氏だが、今回の事件では全く機能していない」と苦言を呈した。

「必要あれば適切に対応」と林官房長官

そうした中、林芳正官房長官は24日午前の記者会見で、「内閣広報室がフジテレビ関係の広報啓発事業の有無を各省に問い合わせている」と明らかにした上で、「今後、フジテレビにおける調査の状況等を踏まえつつ、必要があれば適切に対応する」と語った。

この政府のフジテレビとのタイアップ事業をについては、総務省消防庁が20日、フジテレビのドラマ「119エマージェンシーコール」とタイアップしたPRポスターの配布を延期すると発表しているが、そのほかの目立った動きはないとみられている。

こうした状況を踏まえ、政界関係者の間では「石破首相や林官房長官は、自民党内も保守派と一線を画する“ハト派”とみられている。だからこそ、メディアの中での保守派代表とされるフジテレビの問題には必要以上の踏み込んだ対応を避けることで、政局的優位を保ちたいのでは」(政治ジャーナリスト)とのうがった見方も出始めている。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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