ごみ処理を支える「影の技術者」知られざる実態 清掃工場でも深刻な「設備管理職」のなり手不足

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墨田清掃工場
1日約500台の清掃車がごみを搬入している(写真:筆者撮影)

ほかにも焼却の過程で発生する熱エネルギーで蒸気を作り、発電や熱供給を行っている。作られた電気は清掃工場の稼働で有効利用され、余った電気は電気事業者に売却する。

発電の原理は火力発電と同様で、「墨田清掃工場発電所」として登録されている。また近隣の区施設へ高温水の送水も実施している。

このような機能を持つ清掃工場の一連の焼却プラントは、廃棄物処理法、ダイオキシン類対策特別措置法、電気事業法等の多くの法規制を受ける複合プラントだ。まさに「1万を超える設備・機械の集合体」であり、大半は排ガス等の公害を防止するために機能している。

これらを維持管理し、安定的に稼働させるために幅広い知識や技術を持ち、現場で奮闘している人たちがいる。東京23区で言えば、東京二十三区清掃一部事務組合(以下、清掃一組)の「設備管理職」の方々である。この設備管理職の方々と事務・技術系職員の方々が協力し合って清掃工場を安定稼働させ、住民の衛生的な生活を支えている。

設備管理職の業務紹介
墨田清掃工場は600tの焼却炉を1基擁し、毎日約500台のごみ収集車がごみを搬入する施設。設備管理職は、清掃工場の安定稼働のための日常・月例・年次の点検や法定点検を行う中で異音・異臭・発熱・振動・電流値等から故障の予兆を察知し、技術職の指導のもとで予防保全・事後保全のための補修作業を担う(出典:「令和6年度 東京二十三区清掃一部事務組合 職員(技能Ⅵ)募集案内」)

設備管理職は清掃工場の安定稼働のため、日常〜年次の点検や法定点検、また異音・異臭・振動などから故障の予兆を察知し、技術職の指導のもとで予防保全・事後保全のための補修作業を行う。

安定稼働のため"3K"の現場で奮闘

清掃工場の技術系の組織には運転係、技術係、整備係が設置され、設備管理職はそれらの係のいずれかに配属される。

訪問した墨田清掃工場では、焼却施設の工事や補修工作・定期点検が主な業務である整備係に6名の設備管理職が配置され、安定稼働に向けて現場で尽力していた。

知られざる設備管理職の実態に迫ろうと、墨田清掃工場で整備係技能長の佐藤建男氏より詳細をお伺いした。

設備管理職員の正装
設備管理職員の「正装」は、つなぎ(作業着)、防塵マスク、安全帯、手袋、ヘルメット、ライトとなる。この格好で現場に向かい、機器の点検や補修、維持管理への補修工作を行っている(写真:筆者撮影)
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