“甘い”キムチで大躍進、革命児ピックルスの野望

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開発室企画開発課に抜擢された高橋真理子係長は、子どもを持つ母親の目線で、「主婦層が家族に食べさせたいキムチ」というコンセプトを打ち出した。肝心の味は、「キムチは辛い」という基本概念を捨てた。「自分自身も漬物を好んで食べてはいなかった分、子どもや若い女性にウケる味を追求した」(味の開発担当の谷千安希氏)。日本人の嗜好に合わせて甘みやうま味を際立たせるオリジナルの味を開発した。

概念覆す「甘いキムチ」 日本人の嗜好にマッチ

社内試食で営業部は「こんな甘いキムチは売れない」と酷評。「自由」と言った荻野社長も「ベテランの男性社員が出していたら即却下していた」と振り返る。それでも、常識をぶち破らないと変化は起こせない──覚悟を決めた。

発売直後には「国内外の業者の方から『これはキムチではない。正しい作り方を教えてやる』との指摘があった」と、営業本部兼開発室の渡辺辰也部長は苦笑する。だが、すぐに全国規模で人気に火がついた。女性や子どもを中心に支持を集め、半年後には長年キムチ首位の座に就く東海漬物の「こくうま」を脅かすまでになった。

容器やパッケージデザインでも小さな工夫を重ねた。キムチの容器は400グラムの四角または円形が主流だったが、その半分の200グラムで、長方形のスリムな容器を採用した。「少子高齢化が進む中、食べ切れる少量サイズの需要は高まっている」(高橋氏)。デザインも、赤や黄が主流の売り場で、それまでなかった黒の背景に白文字を選んだ。今では、容器、デザインとも他社から類似品が続々登場している。

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