弘兼憲史「スーパーのレジ待ち」すら楽しむ境地 「おもしろきこともなき世」も心持ちで変わる

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最初の二人までは予想通り3枠がリードしていたのに、三人目のお客さんのスマホがなかなか反応せず、2枠に追い越されてしまう。

しかし、あと二人となったところで、2枠のお客さんがビール券を出すと、店員さんが精算方法を聞くためにレジを止めてサービスカウンターへ駆け込む。

そのタイミングを逃さずに抜き返した3枠が1着でゴールイン! 2着には末脚を見せた5枠が1枠をクビ差でかわし、連勝単式は「3-5」で確定しました――なんてね。心の中で実況を加えたりして、なかなか楽しめるものです。

勝負をわけるのは観察眼と推理力、そして直感力

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このとき、僕はこれまでの経験上、スーツ姿の男性や会社勤め風の女性客が少しでも多い列に並びます。

お客さんにもいろいろな人がいて、待っている間にスマホで「〇〇ペイ」などの準備をしておく人や、小銭をいくら持っているか確認しておく人もいれば、スマホで何かに熱中してしまう人や、ただただボーッとしているような人もいます。

僕自身は小銭を用意しておくタイプなのですが、そんな人の割合が、比較的、会社勤め風の人に多いように感じるのです。

逆に、無理もないのですが、ご高齢の方はのんびりされていることが多くて、レジで金額を聞いてから、ようやく財布を出したりします。

スーパー混雑時の"レジ・レース"には、そんな観察眼と推理力、経験をもとにした直感力が必要なのです。

なかなか深いでしょう(?)

弘兼 憲史 漫画家

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ひろかね けんし

1947年9月9日、山口県生まれ。早稲田大学卒業後、松下電器産業(現パナソニック)勤務を経て、1974年に『風薫る』で漫画家デビュー。以降、「島耕作」シリーズ、『人間交差点』『ハロー張りネズミ』『加治隆介の議』『黄昏流星群』などを世に送り出す。『人間交差点』で小学館漫画賞、『課長 島耕作』で講談社漫画賞、『黄昏流星群』で文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、日本漫画家協会賞大賞を受賞。2007年に紫綬褒章を受章。現在も『社外取締役 島耕作』『黄昏流星群』を連載中。『弘兼流 60歳から、好きに生きてみないか』『捨てる練習』『人生は70歳からが一番面白い』『迷わない生き方』などエッセイも多く手掛ける。

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