弘兼憲史「スーパーのレジ待ち」すら楽しむ境地 「おもしろきこともなき世」も心持ちで変わる

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どちらにしても、素晴らしい。まったく同感です。面白いか、面白くないか。楽しいか、楽しくないか――は、"気の持ちよう"、"心持ち"によって大きく変わるのです。

たとえば、名前も知らない若手落語家の独演会に行くことになったとします。「聞いたこともない名前だな。つまらないだろうな。途中で飽きちゃうかもしれない」と思って行けば、案の定、やっぱり面白くない。本当に飽きてしまって、座っている時間が苦痛でしかなかった――ということになるでしょう。

反対に「知らない落語家だけど、どんな噺(はなし)を聞かせてくれるのかな。若い人の芸は新鮮で楽しみだ」と思って行けば、新たな発見があって意外に楽しめる。あっという間に時間が経ったように感じる――そんなものです。

「ちょっといい話」を喜んでみる

高杉が「おもしろき こともなき世」と詠んだように、確かにこの世の中、「おもしろきこと」はなかなかありません。

2024年は、最大震度7の「能登半島地震」が1月1日に発生。記録的な猛暑となった8月には、スーパーから米が消えてしまう「コメ不足」が深刻化し、「令和の米騒動」と呼ばれました。

3年連続で1万品目以上もの食品が値上げするという急激な物価高騰に庶民が喘ぐなか、国会は政治資金パーティーを巡る裏金事件"政治とカネ"問題に揺れ、夏以降はいわゆる「闇バイト」を使って個人宅を狙う凶悪な強盗事件が相次ぎました。

天災、異常気象、物価高、政治不信、治安悪化による生活不安……。

一方の明るい話題といえば、スポーツ界に目を移し、パリ2024オリンピック・パラリンピックでの、日本選手団によるメダルラッシュ。アメリカMLB(メジャー・リーグ・ベースボール)で史上初となる50本塁打・50盗塁「50・50」を達成し、2年連続3度目のMVPを受賞した大谷翔平選手の活躍など、数えるほどしかなかったような気もします。

とはいえ、です。明るいニュースが少ないからといって、塞いでいても仕方ありません。世間は世間、自分は自分と切り離し、自分だけの"ちょっといい話"、自分だけの"いいニュース"を探してみませんか。

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