中国政府は、リチウムイオン電池の開発・製造に関する技術輸出の規制に乗り出す。中国商務省が1月2日、輸出を禁止または制限する技術を列挙したリストの改定案を発表。電池の正極材料の関連技術や、鉱石やかん水からリチウムを精製する技術などの項目を追加した。
この改定案は2月1日までパブリックコメントを受け付けた後、実施に移される予定だ。リストに追加された技術は輸出管理の対象になり、商務省の許可を得なければ外国に輸出できなくなる。
新たに追加された項目のうち、電池の正極材の関連技術はリン酸鉄リチウム、リン酸マンガン鉄リチウム、リン酸塩などの原材料の製造技術を網羅している。
当初は「三元系」とすみ分け
リン酸鉄リチウムイオン電池は「LFP電池」とも呼ばれ、中国の電池メーカーが製造するEV(電気自動車)用車載電池の主力だ。
現在使われている車載電池には、上述の「リン酸鉄系」のほかに「三元系」があり、それぞれ長所と短所がある。リン酸鉄系は三元系に比べてエネルギー密度は低いものの、原材料コストが安く、(異常過熱などの)安全上のリスクが小さいというメリットがある。
中国の自動車メーカーは、EVの本格普及が始まった当初からエントリークラスの乗用車や(初期投資の小ささが重視される)商用車にLFP電池を積極採用した。
それとは対照的に、欧米や日本、韓国などの自動車メーカーは高級路線を取り、航続距離をより長くできる三元系電池を主に採用してきた。
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