中国の新興EVメーカー「超急速充電池」を自社開発 吉利系「極氪」が新型車に搭載、電池外販も検討

✎ 1〜 ✎ 128 ✎ 129 ✎ 130 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
極氪は超急速充電に対応した自社開発の「金磚電池」を、新型車の「極氪007」に搭載する(写真は同社ウェブサイトより)

中国の新興EV(電気自動車)メーカーの極氪(ジーカー、正式社名は極氪智能科技)は2023年12月14日、超急速充電に対応したリン酸鉄系リチウムイオン電池を自社開発したと発表した。同社が「金磚電池(金のレンガ・バッテリー)」と名付けた新型電池は、15分間の充電でEVの航続距離を500キロメートル伸ばすことができるという。

極氪は2021年3月、中国の民営自動車大手の吉利汽車(ジーリー)から分離独立して発足。現在は「極氪001」、「極氪009」、「極氪X」の3車種を販売しており、2023年11月に新型車「極氪007」の販売予約を開始した。金磚電池は、この極氪007に搭載される予定だ。

同社は自らを「ハイエンドのスマートEVブランド」と位置付けており、既存車種の車載電池はすべて(高価だがエネルギー密度が高い)三元系リチウムイオン電池を採用していた。リン酸鉄系リチウムイオン電池の搭載は、極氪007が初めてとなる。

体積利用率は「トップレベル」

リン酸鉄系リチウムイオン電池は、正極材にコバルトやニッケルなどの高価な金属を使わないため、三元系電池に比べて製造コストが安く、安全性の面でも優れているとされる。

だが、(従来のリン酸鉄系電池は)単位質量・容積当たりのエネルギー密度では三元系電池にやや劣り、充電スピードも及ばなかった。そんななか、極氪は金磚電池の電極と電解液の組成を改良し、三元系電池に迫る充電速度を実現した。

さらに、金磚電池は電池パックの内部構造を見直し、超薄型の断熱材や液冷式の一体型冷却パネルなどを採用してコンパクト化を図った。極氪の副総裁(副社長に相当)を務める謝世浜氏によれば、金磚電池の体積利用率(訳注:電池パックの体積に占める電池セルの割合)は83.7%に上り、世界のトップレベルだという。

関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事