材料費を安く抑えられたとはいえ、価格高騰の影響もあったのではないか。
「材料の値上げはラスト数年がいちばんすごかったですね。セメントはちっとも値上がりしなかったのが、1.5倍ぐらいになりました。鉄筋は、2022年の北京オリンピックのときに3倍ぐらいになっちゃったかな。ただ、ほとんど作り終えていたので、逃げ切ったという感じです」
コンクリートの質がよいということで高いコストを想像したが、さほど影響はない。むしろ、強固で耐久性の高いコンクリートであるため、コンクリート壁を二重にする工事や防水工事を避けることができ、コストを抑えられているともいえる。
まだ完成していない
建築家ガウディの「サグラダ・ファミリア」になぞらえられることが多い蟻鱒鳶ル。建物内部は、キッチンの工事や内装の仕上げ、手すりやドアの取り付けなど、まだまだ作業は続いていく。
「昨年の秋から、あっちこっちで『完成した』って書かれていますが、僕、ひと言も完成したなんて言っていないんですよ。でも、どの状態を完成とするかと言われたら、今でもいいのかもしれません。それは『こういう建築を作りたい』と最初に僕が考えたものができたから。来年に完了検査を受けたら、法律的に完成となります。キッチンをどう配置するかなどは少しも考えていないので、あとは普通のことをやるだけです」
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