海外記者が見た「日本の中居報道」に潜む異常さ サルを追いかけるのにはヘリコプター使うのに
「被害者が口を割らないので、何が起こったのかわからない。どうしたらいいのだろう?」と日本のあるジャーナリストは嘆く。しかし、昨年12月に『日本経済新聞』がホンダと日産の合併が発表されそうだとスクープしたとき、テレビの取材班はホンダCEOの早朝のランニングに直撃し、質問した。
日本のメディアはなぜ、中居のような社会的関心の高いスキャンダルについて、同じようなスタミナを示せないのだろうか?
どうでもいいことの詮索は頑張る日本のメディア
私のような"外部者"を真に困惑させるのは、日本社会ーーとりわけメディアーーの性的問題に対する鈍感さ、あるいはプライオリティの低さである。
日本のメディアは日常的にどうでもいいことの詮索には躍起になる。最近ではG7での石破首相の座り方を「解剖」した。20人規模のデモやサルを捕獲する人たちを追うためにヘリコプターを飛ばす。
しかし、どうだろう。中居のような大スターによるテレビ関係者への問題が明らかになると、メディアの真実に対する欲望は突然消え去ってしまう。
文春は1999年の時点でジャニー喜多川の恐るべき犯罪を報道し、その後名誉毀損裁判で勝訴した。しかし、フジテレビや主要メディアは数十年にわたってこの報道を無視し、ジャニー喜多川の暴走を止めることをしなかった。
「ジャニー喜多川の犯罪はすべて文春の報道に書かれていたのに、誰も何もしなかった」と、うんざりした様子で語るのは、アメリカ大手メディアの元日本支局長である。BBCの日本語が不自由なジャーナリストが世界に真実を明らかにしたのだ。
それでも、その後の記者会見では、主要メディアの最大の関心事はジャニーズ事務所を"安楽死"させるのではなく、いかにして延命させるかにあったようにみえた。
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