中国政府がガソリン車と分けている「新エネ車」はEVだけでなくPHV、燃料電池車(FCV)も含まれている。
2020年以降の中国の新エネ車シフトはテスラが牽引し、EVが中心だったため、新エネ車販売の内訳は2022年までEVとPHVが8:2で推移していた。だが2023年以降PHVの比率が拡大し、2024年の内訳はEVが前年比15.5%増の771万9000台、PHVが同83.3%増の514万1000台で、6:4まで差が詰まった。
EVのみを展開するテスラに対し、BYDはもともとEVとPHVを展開していた。2024年は「EVはガソリン車より安い」というスローガンを掲げてEVの価格破壊を仕掛けると同時に、PHVの技術革新と車種拡充にも力を注いだ。
2024年5月に独自のPHV技術「DM-i」を刷新した。フル充電で、ガソリンを満タンにしたときの航続距離を2100キロメートルに伸ばした。
同技術を搭載したPHV「秦L DM-i」「海豹(シール) 06 DM-i」はそれぞれ9万9800元(約210万円)~で発売され、大ヒットした。
実際、BYDの2024年の乗用車販売はEVが前年比12%増の176万4992台、PHVが同73%増の248万5378台で、市場全体の伸びと近い曲線になっている。
日本にもPHV投入か
BYDが日本に乗用車を投入して間もなく2年になる。これまでEV3車種を投入し、最近、4車種目としてSUV「シーライオン7」を発売することが発表された。
日本市場ではEVのみを展開してきたため、BYDといえばEVメーカーというイメージが強いが、2024年の乗用車販売の6割をPHVが占めており、「新エネ車メーカー」あるいは「世界最大のPHVメーカー」と表現するほうが正しい。
PHVはガソリン車からEVへの世代交代の「つなぎ」の車種で、「EVのほうが先進的、高い技術力が必要」とのイメージが中国でもあったが、EVがある程度普及したことによって航続距離や充電時間などデメリットが広く共有されることになり、価格や機能のバランスの良さからPHV人気が高まった。
BYDは消費者の現実的なニーズを捉えた車種展開をしていたことで、ガソリン車、EV大手のいずれもが失速する中で、100万台以上を伸ばせたわけだ。
そして最近意匠公報に公開されたBYDの乗用車が、中国で発売されているPHV車種の形状であることなどから、日本でのPHV車種投入も遠くないとみられている。
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