中国「BYD」大躍進の理由は"EVじゃなかった"衝撃 アメリカでの「EV一服」は中国も例外じゃない

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BYDの2024年の世界販売は前年比41%増の427万2145台だった。

BYDは昨年創業30年を迎えた。アメリカの著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハサウェイが2008年から投資をし始めた。EVバスでは2010年代から実績を挙げていたが、乗用車メーカーとしては最近までこれといった特徴のない中堅メーカーにすぎなかった。

コロナ禍前の販売台数のピークは2018年で50万台強。その後中国の自動車市場が低迷し、2020年の販売台数は約42万6900台だった。それが2021年は約74万台、2022年に約185万7000台、2023年は約302万4400台と伸ばし、わずか4年で世界販売が7倍になり、「テスラの唯一のライバルであるEVメーカー」としてのポジショニングを確立した。

PHVとEVの両方を手がけるBYDは、EVの販売台数ではテスラに差をつけられていたが、2024年はテスラが前年比1%減の178万9226台、BYDは同12%増の176万4992台と僅差に迫った。

テスラのおひざ元であるアメリカでは2023年以降EVの市場が伸び悩んでおり、かねて噂されている低価格EVの発売など、起爆剤が投下されなければ、2025年はBYDに逆転される可能性がある。

中国でもEV離れの兆し

テスラすら前年割れした中で、なぜBYDが100万台以上販売を伸ばせたのか。ひとつは主戦場とする中国の自動車市場が2024年も成長を続け、その恩恵を受けることができたからだ。

中国政府は昨年、景気対策として自動車の買い替えに補助金を導入した。政策効果はてきめんで、中国汽車工業協会が1月13日に発表した2024年の中国新車販売台数(輸出を含む)は、前年比4.5%増の3143万6000台と、過去最高を記録した。

ガソリン車より新エネルギー車(EV、PHV)への買い替えのほうが補助金の額が大きかったことから、新エネ車シフトは一層加速し、新車市場全体に占める新エネ車の比率は40.9%に高まった。

テスラの2024年の中国でのEV販売台数も前年比8.8%増の65万7000台と過去最高を記録しており、アメリカの不振をカバーするうえで大きな役割を果たしたことがわかる。

BYD EV PHV テスラ
テスラのEV、ModelY(写真:テスラ中国より引用)

一方、全体が伸びているので見落としがちだが、アメリカを中心に世界で起きている「EV需要の一服」は、中国も例外でない。

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