金融庁監督局長が指摘する保険業界の深刻な病巣 「悪しき慣習から脱し商品の差別化で競い合え」
われわれが設置した有識者会議や金融審議会でもさんざん議論したが、そうした保険会社と代理店のもたれ合いの構図が、代理店の自立やリスク管理能力の高度化を阻害していた部分もある。業界全体がそうした悪循環に陥っているのではないか。徹底的に意識改革をして変わってもらわなければ、またぞろ元に戻るリスクがある。
モニタリング部隊を増員
──監督責任がある金融庁としては、モニタリングをどう見直していきますか。
大規模な乗り合い代理店に対するモニタリングを強化する。保険会社には代理店を指導・監督することが求められるが、大規模代理店に対しては取引シェアなどがちらついて、機能しにくくなる側面がある。
──モニタリングの強化に向けて部隊を増員するのですか。
今後増員していく。金融庁として保険会社、代理店の監督のあり方を見直し、変えていかなければいけない。
──今回の金融審では、代理店を監督する自主規制機関の設置については見送りになりました。
自主規制機関を設置すればすべてが解決するわけではない。金融監督当局として、すぐには新たな体制整備ができないという中で、代理店への監督・指導をどう実効的に高めていくかが問われていると考えている。
──金融審の報告書にある比較推奨販売ルールの見直しについて。運用方法の詳細は監督指針で決めていく形ですが、顧客の意向がない、または「代理店に任せる」といったケースに目をつけ、その場合は特定の1社の保険商品を推奨してもよいというような、規制の抜け穴をつくろうと画策する動きが代理店側にあると聞きます。
(保険業法施行規則で、代理店の都合で特定の1社の推奨を可能にしている)比較推奨販売におけるハ方式というのはなくす。代理店独自の事情で特定の1社だけを推奨することは、できなくする。
そもそも顧客の意向がないなどというケースが、本当にありえるのか。保険料が高くてもサービスが充実しているほうがいいか、サービス内容はある程度落ちるが保険料が安いほうがいいかなど、ヒアリングの仕方で意向はいくらでも明確にできるはずだ。
商品を比較する知識が顧客に薄いのであれば、どういうメルクマールがあるか顧客に提示することぐらいは、あってしかるべきではないか。
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