「お酒は組織の接着剤、そんな文化は衰退している」 グローバルダイニング社長に聞く飲食業の商機
――業態を広げていく中で、人材の採用や育成も課題になってきます。
非常に大切だ。採用は現場主義で、現場の判断でアルバイトを採用している。アルバイトは幅広い属性の人がいるので、一緒に働く中で才能を見い出して、社員に採用していくというモデルだ。
企業としては、さらに人材を育てる必要がある。自分が直接店舗を運営する仕事と、自分がいない店舗でも客の満足度を上げることは違う。
店長として従業員を育て、客の満足度を上げることを高いレベルでできる人材は10人に3人ほどしかいない。さらに、店長を束ねることや、店長になれる人材を生み出せる人は100人に1人ぐらいだ。
ただし、評価の仕組みなど、さまざまな取り組みを進めてきたことで、当社ではそうした人材も着実に増えてきている。
アメリカ事業の悩みとは?
――カリフォルニア州で展開するアメリカ事業は苦戦が続いています。
賃金上昇の影響は大きい。現在は最低時給が20ドル弱(約3000円)まで上がっている。働き始めたばかりの人に払う給料が高くなると、インセンティブで出せる額も減ってしまう。
もともとアメリカのレストランはチップを払う文化で、それが給料よりも高い。そのため、チップを得られる仕事の給料はそこまで高くなかった。20ドルを払うと、従業員数を削るしか生き残る道がない。カリフォルニアでの出店は当分難しいだろう。
ただし、今後も成長していくアメリカの事業は絶対に手放さないつもりだ。世界のさまざまな変化はアメリカで最初に起こる。拠点がなければ情報収集ができず、世界のこともわからないだろう。
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