Windows 10サポート終了で迫るリスク "AI対応PC"への転換点となるか
経済的な負担も大きい。Windows 11への切り替えそのものは無償であっても、ハードウェアの制約によって新しいPCを調達せざるを得ない場合、ノートPCなら10万円台後半、性能を求めれば20万円以上のコストがかかるかもしれない。企業や組織においてはシステム管理や研修などの人的コストも含め、そう簡単に決断できない事情がある。
さらに操作の変更に対する抵抗や、アップグレード時のトラブルを嫌う心理も加わり、期限まであと9カ月というタイミングでも必ずしも全ユーザーがすぐに動き出すわけではない。
最新Windows 11 PCは「AI PC」に
一方で、マイクロソフトは2024年から立ち上がった新カテゴリーのPC「Copilot+ PC」を推進している。
これはいわゆるAI PCと呼ばれるもので、高性能CPU・GPUに加えてNPUと呼ばれるAIに特化した処理チップを搭載し、クラウドとローカルでAI機能をフル活用できる設計となったパソコンだ。CES 2025でもLenovoやHPなど複数のメーカーが新モデルを発表している。
Copilot+ PCは、オンライン会議の要約や翻訳、画像生成やテキスト要約などを高速にこなしてくれるため、作業効率やエンターテインメント性を大幅に引き上げる可能性がある。
価格帯は10万円前後からと案外エントリー層も用意されていて、「どうせ買い替えるならAI機能が充実したPCに切り替えたい」という需要を掘り起こしているようだ。
MicrosoftがCES 2025で強調した「今年はWindows 11への更新の年」というメッセージは、単に旧OSを淘汰するための呼びかけだけではなく、新時代のPCの在り方を見据えた提案でもある。
AI機能とハードウェアレベルのセキュリティを標準装備したWindows 11環境こそが、これからのスタンダードになっていくというのが同社の読みだろう。
それでもWindows 10から移行しないまま2025年10月14日を迎える選択は、サポート切れOSをネットに接続し続けるという大きな賭けを意味する。現状で「そこまで緊急性を感じない」というユーザーや企業が多いのは確かだが、もし重大なセキュリティインシデントが起きれば被害は甚大になりかねない。
Copilot+ PCのような新カテゴリーもすでに出そろい、リプレースの踏ん切りをつけやすい今こそ、利用者それぞれが早めにWindows 11への更新を考えるべき時期に来ているのではないか。
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