窪田:今、井筒さんが暮らしているような自然が身近にある環境だと、子どもの好奇心はより刺激されますよね。山があって川があって、そこには虫や動物たちがいる。そういった面では、都会の子どもたちは見る景色が均一化していますから、ちょっとかわいそうかもしれない。
井筒:それはありますよね。とはいえ、人工物からも好奇心を引き出すことはできる気がします。もし子どもがデザインに興味を持っていたら、街の看板や建物などを見るのも面白いはず。そんなふうに子どもが興味を持っているものを、外の世界に見つけに行くと、自然と足が外に向かうんじゃないかなと思います。
窪田:おっしゃる通りですね。井筒さんのように発想していけば、子どもたちはもっと外へ外へと好奇心を広げていけそうです。
大人こそ好奇心を持つことが大事
窪田:井筒さんは宇宙への興味から宇宙博士になり、その後も広島の中山間地域に移り住んで、宇宙をテーマに町おこしをするなど、好奇心を原動力にずっと動き続けていますよね。
私も好奇心は旺盛なほうだと思うのですが、好奇心を持ち続けられる人と、そうではない人の違いは何だと思いますか?
井筒:子どもは多かれ少なかれ、みんな好奇心があると思うんですよね。ただ、それをずっと持ち続けるには、環境にもよるかなと。好奇心を向けた先にがっかりするようなことがあると、途中で嫌になってしまう。
子どもが「面白い」と感じたものの先に成功体験があったり、さらにブーストされるような環境に子どもを置いてあげたりすることができれば、好奇心の火を燃やし続けられるのではないでしょうか。
窪田:井筒さんにはそういう体験がありましたか?
井筒:幼少期から、自分がやりたいことをやらせてもらえる環境だったと思います。両親には、高校生のときに「宇宙の研究がしたい」と伝えたのですが、それからは好きなように進ませてくれて。だから、恵まれていました。
窪田:子どもの好奇心が伸びるのを邪魔せずに、応援してくれていたのですね。