「学校に行けなくなった頃は力や言葉で従わせようとしていました。『出て行け!』と言って脅したり、つかみかかろうとしたこともあります。娘が反抗したり言い返すことはありません。小さな頃から自分の感情を出さない子でしたから」
「それでも私は娘を問い詰めていくんです。最悪な母親ですよね。言い訳になりますが、周りと同じようにできる子でいてほしいと思ったんです。それは私自身ができない子だったから。私が後悔してきたことを娘にしてほしくないと努力を強要したんですね」
昭子さんが私と出会ったのはちょうどその頃でした。同じ境遇の他のお母さん方との交流を通じて、自分のことを少し客観的に見るようになります。
自分を肯定することは簡単ではない
「不登校について学ぶうちに娘のことを受け入れるしかないと感じました。自分の歪んだ価値観にも気づきました。私は自分を認めていなかったんだなって。でも、頭ではわかっていても感情がついていきません。過去の自分を癒やそうとしたり、今の自分を肯定しようと思っても、どうしても悪い自分が顔を出すんです。自分を認めるって簡単じゃない」
「娘は高校に入って学校に行くようになりましたが、体調不良で休みが続くと私ががまんできなくなるんです。『定期代がいくらかかってると思ってるの?』『もうすぐ学費を払う時期だけど学校をやめるつもりなら払いたくないんだけど』『夜中はゲームして元気なくせに朝になると体調が悪くなるんだね』などと吐き捨ててしまう。娘は黙って泣いています。自分でもひどいことを言っているとわかっています。でも、直せないんです」
深い苦悩の中にいる昭子さん。そんな時、普段何も言わない娘さんが意を決したように伝えてきたそうです。「私は人とは違う。発達障害だと思う。クラスにいると自分が人と違うのがわかってつらい」と。
その後2人は思春期外来に行きましたが、はっきりとした診断は出ませんでした。医師からは「娘さんはストレスが強い。親子関係の影響が大きいのでは?」と言われたようです。
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