トランプ発言で注目「カナダ」の日本との"深い縁" キャノーラ油の品種改良の背景に"両国の信頼"

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そこで、「百聞は一見に如かず」だ。筆者は、カナダ・キャノーラ評議会に調整を依頼し、同評議会の農学専門委員イアン・エップ氏が経営する農場を視察する機会を得た。2023年9月のことだ。

サスカチュワン州の最大の都市サスカトゥーン近郊ブレイン・レイクの農場に、最新式の大型コンバイン等が並ぶ姿は圧巻だった。訪問した際には、天候良好で例年より早く収穫されていたが、2000エーカー(東京ドーム約174個分)の広大な農場の収穫直後の光景は忘れられない。

エップ氏の説明のポイントは以下の通り。

・サスカチュワン州北部は土壌の保水力が高く、乾燥した気候がキャノーラに適している。
・同じ作物の連作は土壌の養分不足や病害虫の発生につながるので、農地を区分けして、小麦、オート麦、大麦、亜麻、エンドウ豆などを輪作している。
・内外の需要も伸びて価格も上昇している。
・カナダ産キャノーラの90%が輸出されていて、アメリカ、日本、中国が主要な輸出先である。

興味深かったのは、対中輸出について、「厳しさを増す加中関係の影響で、中国側は突如輸入停止を一方的に宣言しました。輸入停止措置は解除されたと公式発表されても、実際の取引は止まったままです。正直に言って、信頼感も透明性もないのが実情です」と心情を吐露した。

ハイテクを活用して農場を経営

また、ハイテクを駆使した21世紀の農業が印象的だった。

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衛星を用いて、水分、窒素、カリ等の含有量、肥料残量など、詳細な土壌分析を活用して、最も効率的で必要最小限の資材投入のタイミングと個々の箇所を決定。それらのデータをコンピュータ搭載のコンバインやトラクター等の農業機械に入力。自動運転で肥料等を散布し、刈り取りも行うのだ。

実際、ハイテクを活用して少人数できわめて効率的に農場を経営している。技術が日進月歩で、5〜10年で新しい機種に更新しているという。

視察の合間に、エップ夫人は、お茶受けとしてポッキーとお煎餅を用意してくれた。日本からはるか遠いカナダの大平原でも、地元のアジアフードマーケットで売っているそうだ。日本とカナダの密接なつながりを実感した。

なお、キャノーラには、今後、再生可能バイオディーゼルの原料として大口の需要も見込まれる。カナダの石油・ガス業界3位のインペリアル・オイル社が脱炭素経済の先を見据えて動き出した。

山野内 勘二 駐カナダ日本国特命全権大使

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やまのうち かんじ / Kanji Yamanouchi

1958(昭和33)年生まれ 長崎県出身。1984年、東京外国語大学卒業、外務省入省。在アメリカ合衆国日本国大使館一等書記官、九州・沖縄サミット準備事務局次長、在大韓民国日本国大使館参事官、北米第一課長、総理大臣秘書官、アジア大洋州局参事官、在アメリカ合衆国日本国大使館公使、経済局長、在ニューヨーク日本国総領事・大使などを歴任して、2022年5月より駐カナダ日本国特命全権大使

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