トランプ発言で注目「カナダ」の日本との"深い縁" キャノーラ油の品種改良の背景に"両国の信頼"
カナダは、日本人の食生活にとって不可欠だ。特に大切な品目について見てみよう。
小麦――カナダは世界有数の生産国
小麦は、多くの国にとって基礎的な穀物だが、自給できる国は数える程だ。実は、日本の場合、国内で消費される約9割は、輸入品だ。主な輸入先は、アメリカ(50%)、カナダ(33%)、オーストラリア(16%)の3カ国である。
いずれの国も日本とは、基本的価値を共有し、非常に良好な2国間関係を持つ。
小麦の輸入は、「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」に基づく国家貿易で、国がアメリカ・カナダ・オーストラリアから買い付けて、国内の流通業者に販売する仕組みだ。きわめて安定的に小麦を調達しているといえる。
しかし、輸入価格は、国際市場で決まる。国際情勢、地政学的な影響を受ける。さらには異常気象・天候の影響により、収穫量が変動すれば、当然に価格に直接反映する。
よって、ウクライナ危機以降、小麦価格は日本国内でも高騰している。麺類・パン類を中心にした外食でも、スーパーなどでの買い物でも、小麦に関連した物品の値上がりは顕著で、日々のニュースでも取り上げられている。
とはいえ、日本の状況は、他の多くの小麦輸入国と比べれば、ウクライナ危機の影響は一定の範囲にうまく制御されているといえる。なぜならば、日本はウクライナからもロシアからも小麦を輸入しておらず、影響は間接的なものだからだ。
ウクライナやロシアからの小麦に依存している国々は大変だ。
アメリカ農務省の穀物等需給報告によれば、ウクライナは、小麦生産で世界9位、輸出は世界第5位だ。しかも安価。主な輸出先は、中近東、アフリカ、南アジアだ。
ロシアのウクライナ侵略で黒海の小麦積出港が封鎖され、世界のマーケットからウクライナ産が締め出された結果、小麦輸出がほぼ半減、穀物価格が2倍になり、これらの国は死活問題にさらされた。
小麦、あるいは小麦代替穀物の調達が急務だ。人道的な観点からも国際社会の喫緊の課題である。
2022年7月には、国連とトルコが仲介する形で、黒海からウクライナ産小麦の出荷を可能とする枠組みが実現した。ウクライナにとっても小麦輸入国にとっても朗報であった。
しかし、この枠組みには、当然のことながらロシアの思惑が絡む。ウクライナの戦場の動向とも無縁ではない。
ウクライナ軍が反転攻勢に出た頃、2023年7月、ロシアは黒海穀物輸出枠組みの停止を一方的に宣言する。小麦をも侵略の道具とするロシア。お金があっても小麦が買えなくなってしまった。それが、国際社会の現実だ。
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