SL時代から新幹線まで「雪と闘う鉄道」の記憶 除雪車の豪快な活躍や「防雪林」が守る線路

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ロータリー車は、かつてはラッセル車では歯が立たない北海道の名寄本線、深名線などの豪雪地帯で活躍した最強の「キマロキ編成」が思い起こされる。

これは線路脇に雪の壁ができ、除雪に支障をきたすほどの豪雪の際などに雪を遠方に吹き飛ばすために運行された除雪列車で、「キマロキ」は車種を表す。キは先頭の機関車の「キ」、マは開閉式の翼で線路際の雪壁を崩し、線路の中央に向けて落とすマックレー車の「マ」、ロは線路上に集められた雪を遠くへ飛ばすロータリー車の「ロ」、キは後部機関車の「キ」である。

弘南鉄道 キ100形
弘南鉄道のキ100形ラッセル車。今も現役で活躍している(撮影:南正時)
DD14 宗谷本線音威子府
国鉄宗谷本線の音威子府駅で待機するDD14形ロータリー車(撮影:南正時)
【写真】ロータリーヘッドを外して宗谷本線でSL貨物列車の前補機を務めるDD53形ディーゼル機関車の貴重な姿や、DD14形ロータリー車の胆振線での活躍

キマロキによる除雪は昭和30年代以降、線路の両側に積もった雪を掻き寄せることのできるロータリー装置を取り付けたDD14形ディーゼル機関車が登場し、姿を消していった。その後はラッセル車も含め、除雪車はディーゼル機関車の全盛時代となった。現在はそのディーゼル機関車による除雪車も相次いで姿を消し、保線用モーターカーなどによる除雪が主流である。

豪雪の北海道では、かつてDD14形が活躍を見せた名寄本線や深名線などは廃線となったものの、宗谷本線では今もDE15形のラッセル車が定期的に走っており、シーズンになると全国から「撮り鉄」が訪れ、今や北海道の冬の風物詩ともなっている。

豪雪地帯のローカル私鉄

私鉄各社は、機関車を保有する会社では機関車の前後に大型のスノープロウを装着してラッセル車として使用する例が多かった。機関車を持たない路線では電車などにスノープロウを取り付けている例もある。

十和田観光電鉄 ED402
十和田観光電鉄(2012年廃線)の電気機関車ED402。スノープロウを取り付けている(撮影:南正時)
北陸鉄道小松線
北陸鉄道小松線(1986年廃線)の電車。降雪に備え、前面に雪かき用の大きなスノープロウを取り付けている(撮影:南正時)
【写真】今はなき北恵那鉄道(1978年廃止)の車庫。電車の屋根に積もった雪をほうきで払い落とす
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