現在の状況が続くと、10年代後半には、中国の賃金水準はメキシコを上回るとの推計もある。だから、中国生産の有利性はもう終わりで、賃金がもっと低い他のアジア諸国に生産拠点を移すべきだとの意見もある。「これからはインドやベトナムやミャンマーの時代だ」という意見だ。
製造工程の利益率は2%を超えられない
しかし、賃金は工場立地を決める条件の一つにすぎない。それ以外に、インフラや労働者の質が重要だ。特に、勤勉な労働者は、インドやミャンマーでは簡単に見つからない。
したがって、中国内での対応が重要になる。沿海部から中国内陸部に移転したり、機械の導入によって労働生産性を上げるなどの方策である。事実、フォックスコンは、深セン工場は縮小し、より賃金の安い内陸部に巨大な工場を建設する予定である。また、ロボットなどの省力化手段を導入するとされる。
図に示すように、中国における製造業の賃金は、上昇はしたものの、日本やアメリカの水準に比べれば、まだはるかに低い。
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