ヤフー宮坂社長が激白「次の主戦場はアプリ」 PCからスマホ、アプリへ、ヤフーが描く変貌

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ヤフー会長の座は、孫正義氏からソフトバンク副社長のアローラ氏へと移った。アローラ氏は米グーグルを経て、2014年9月にソフトバンクに移籍。ソフトバンクからは165億円もの報酬が支払われていたことが明らかになっている。会長交代でヤフーの経営がどう変わるか、業界内外で注目される。

──アローラ氏とはどんなやり取りをしているのか。

彼は米サンフランシスコにいることが多く、ビデオ会議が主になるが、取締役会などで活発に議論をしている。もちろん、日本に来ているときは、顔を合わせる。

お互いを知らずに、「こうしたほうがよい」となるとよくない結果になりがちだが、フランクな人なので、心配ない。私を含め、ヤフーの以前からの経営陣とは、丁寧なコミュニケーションができている。

──事業の方向性などについて、アローラ氏から具体的な意見が出されているか。

あくまでも取締役会長としての立場から、ヤフーの経営に携わりたい、という意識を強く持っている。実際に事業の決断をするのは執行役員という考えの下、感心する助言やアイデアをくれるが、指示はしない。意思決定はわれわれに委ねられている。

「海外でのM&Aには慎重だ」

ヤフーは米ヤフーとのライセンス契約で、「ヤフー」ブランドを掲げて海外で事業を展開できない。しかし、その制約を避ければ、展開は可能だ。成長が鈍化する中、海外に活路を見いだすこともできる。広告・検索事業に次ぐ柱を育てるため、今期から投資事業として、ECモールの「Yahoo!ショッピング」、自社クレジットカードの強化を打ち出した。

──手元の資金は十分にある。海外でM&Aを積極化する考えはあるか。

現状で、海外事業をやっていないかというと、そうではないし、外に行くこと自体は簡単。だが、インパクトのある利益貢献にまで結び付けるのは、簡単でない。M&Aについても慎重な立場だ。

──ECとカード決済の相乗効果を狙うビジネスモデルは楽天が先行している。今から追いつくための策は。

有料のプレミアム会員が約1000万人いるが、そのうちショッピングを使っている人はまだ少ない。楽天やアマゾンでECを利用しているからだ。有料会員で、ヤフーのカードやショッピングを利用する人に手厚くポイントを還元することで、自社サービスに取り込んでいきたい。

──8月末に起きたシステム障害によって、大量のメールが消失した。

たいへん責任を感じ反省している。四半期ごとの目標を強調しすぎて、時間をかけての改修など、いろんな場面で本来必要な対応ができていなかったかもしれない。IT企業は成長スピードが重要だが、トラブルで利用者が離れてしまっては元も子もない。

「週刊東洋経済」2015年9月26日号<19日発売>「核心リポート02」を転載)

山田 泰弘 東洋経済 記者

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やまだ やすひろ / Yasuhiro Yamada

新聞社の支局と経済、文化、社会部勤務を経て、2014年に東洋経済新報社入社。IT・Web関連業界を担当後、2016年10月に東洋経済オンライン編集部、2017年10月から会社四季報オンライン編集部。デジタル時代におけるメディアの変容と今後のあり方に関心がある。アメリカ文学、ブラジル音楽などを愛好

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