最近聞いた話では、今のレクサスの技術者たちが“初代LS400は、なんであんなによくできているんだろう”と、一所懸命研究しているんだとか。ここも面白い。クルマづくりには、書面だけでは技術継承が難しい部分があるのだろう。
移動ではなく、経験を伝える旅
話を今回のクイーンズタウンに戻すと、レクサスでは、世界各地から参加した自動車ジャーナリストやインフルエンサーを集めて、先にも触れた、ヘリコプターで山の上を飛んだり、ボートに乗ったり、メリノヒツジの牧場(放牧)を尋ねたりという、楽しみを提供してくれた。
もちろん、クルマがないとアクセスできない場所もあるので、その意味ではドライブと関連するレジャーであるけれど、直接は無関係。でも、あとになると、自分が走った場所の記憶として、冠雪した山の風景や氷河湖やヒツジが、クルマとともにいい思い出として浮かんでくる。
そういえば、1950年代から1960年代にかけて、フェラーリは巨大なアメリカ市場に足場を築くのだが、そのときのエピソードを思い出した。当時、マラネロ(フェラーリの本拠地があるイタリアの町)のフェラーリには、強いドルを持ったアメリカのジャーナリストが押し寄せていたそうだ。
彼らはそこで「ロマンチックなカーシーンと伝統的な町並み、美しい風景とエレガントな女性、山盛りのご馳走を手に入れることができた」と、英国のジャーナリスト、ブロック・イェイツは伝記『エンツォ・フェラーリ』(桜井淑敏訳)で書いている。フェラーリが人気を呼ぶようになったのは、一緒にイタリアを買うようなものだったからだとしている。
クルマの魅力とはそういうものなのだろう。レクサスのGX、LBX、LBX Morizo RR、それにLMが提供してくれたのは、A地点からB地点への移動中の体験だけでなく、その間になにができるかということで、まさにそれこそ、旅。レクサスの「経験」は、中身が濃かったのだ。
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