日本郵便とヤマト「120億円訴訟」に至った言い分 物流サービスの「大同団結」が危うい事態に
トラブルの経緯をひもとくと、当初から合意内容やオペレーションについての認識のズレ、見通しの誤算があったようだ。
乖離はメール便の移管時から生じていた。ヤマトの「クロネコDM便」は今年1月に終了し「クロネコゆうメール」としてサービスを開始している。
業務の移管に当たり、ヤマトの荷物は日本郵便側の仕様に合わせることになり、引き受けられない荷物が増えた。日本郵便に流れた顧客は多く、メール便は移管のタイミングで激減していた(取扱数は2024年2月に前年同期比84%減)。
クロネコゆうパケットについても、移管でネコポスより配達日数が延びるため、より早く届く日本郵便の「ゆうパケット」へ顧客が流れた。両社で配達日数を短縮すべく改善策を講じたが、うまく進まなかった。
日本郵便の担当者は「10月から取り組みを始め準備していたが、ヤマトからの荷物がほとんどなかった」と説明する。
ヤマトは移管に伴い顧客が離反
移管に伴う顧客の離反はヤマトにとって想定以上だった。ここは見通しが甘かったといえるだろう。
メール便もネコポスも顧客流出が続く。宅配便も苦戦し、2024年度の中間決算(4~9月)で150億円の営業赤字に転落。苦境を受けて、停止の申し入れに至ったという事情だった。
ヤマトはクロネコゆうパケットの移管を問題視した理由を「従前より配達までの日数が延びてしまう事態が発生している」としており、それ以外の公式な主張を避けている。
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