「多様性尊重」で逆に炎上、残念ケース増える背景 「つくり出された炎上」多発、企業の対応も変化
倉沢:企業の事例ではないですが、直近では「40歳を過ぎたパーカーおじさんはみっともない」といった発言でコラムニストの女性が炎上し、論争が巻き起こっていましたね。
西山:同じような話で、男性の体臭について言及したフリーアナウンサーの女性が炎上したケースもありました。
男性を下げる、批判するような発言によろしくない面があるのはもちろんなのですが、以前だったら比較的許されていたのも事実です。それは「男性が強い立場で、女性が弱い立場」という認識が世間で共有されていたからだと思うのですが、今は徐々に「男性も弱者じゃないか」という意識が強まってきており、たたきづらくなってきているわけです。
今後もこの傾向は強まる可能性があるので、女性を優遇するキャンペーンだったり、男性をいじるような広告表現だったりは、炎上が起きやすくなるという点で注意が必要です。
単に多様性を尊重するだけでは反発も食らう
倉沢:ジェンダーを含む「多様性」について、それをどう尊重すべきかをめぐって起きた炎上もいくつかありましたね。
西山:そうですね、ダヴによるルッキズム批判の広告に対しては、「逆にルッキズムをあおっている」といった批判が起きましたし、ワコールがジェンダー多様性に配慮した接客方針の中で「性別にかかわらず利用できる試着室」を打ち出したのには、性被害の懸念などが指摘されました。
企業活動をするうえで多様性は必ず尊重しなければならないのですが、そこで既存の利用者・消費者、とくに女性の利用が制限されるとか、リスクが高まってしまうとか、そういう部分にも配慮する必要があります。単に多様性を尊重するだけでは、現実の利用者の反発を食らいやすくなっているといえるでしょう。
倉沢:西山さんは最近の記事で「つくり出された炎上」が多発していると指摘していますが、これはどういうことでしょうか。