「人口減少社会」では民主主義は機能不全に陥る 中央は「問題先進地域」地方の革新を妨げるな!

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地方で患者が減少し始めて経営が難しくなってくると、イノベーターが表に出てきて、われわれが2013年の社会保障制度改革国民会議で描いていた地域医療構想と地域包括ケアの融合を、独自に、そこまでやるかというぐらい展開しているわけです(「日本の医療は高齢社会向きでないという事実」<東洋経済オンライン>)。

そして、地方の医師会の会長というのは、「わが県が必要なのは『家族丸ごと診る家庭医』です」とインタビューで答えたりしていて、中央の動きを待っていたら自分たちの県(の地域医療)は消えてなくなるという危機感を持っています( 「小泉ひろみ・秋田県医師会会長に聞く」<m3.com>)。

問題先進地域である人口減少地域のイノベーターたちが日々直面する問題を解決するために果敢に動いていく(イノベーター理論では、人を、innovators、early adapters、early majority、late majority、laggardsと5種類に分類している)。

国はそれを支援はしても妨げない。それが人口減少社会において、「地域軸」を強く意識した医療・介護政策のあり方になるのだと私は思っております。

地方における医師確保問題の障害とは?

とは言っても、地域ではいかんともしがたい問題があって、それは医師の確保です。この問題を解決するために、「医師需給分科会」というのが2015年12月から6年間にわたって計40回の会議を行っていました。

欧米でも医師の地域偏在問題はものすごく深刻で、かなり研究が進んでいます。その結果、医師の地域偏在を解決するための政策技術は大体わかっていて、エビデンスレベルの高い順に言うと、地元枠、次に総合診療医というのは地域に根づきます。そして、3番目が地域医療の経験です。若いときにやる。

WHO(世界保健機構)は2010年に国は医学教育への介入が不可欠と言っています(「日本の大学の医学部教育は何が問題なのか?」<東洋経済オンライン>)。

それは医学部で地元出身者を優遇すべし、homecoming salmon hypothesis、私は鮭の母川回帰仮説と訳していますが、そういう仮説に基づいての提言ということで、これは日本でも進めてきました。

地元枠ではないのですけれども、地域枠というところで、若い人たちの医師の配置というのが地域偏在という観点から見て割とまともになってきているという成果が出てきています。

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