「人口減少社会」では民主主義は機能不全に陥る 中央は「問題先進地域」地方の革新を妨げるな!
全世代型社会保障構築会議というものがある(以下、構築会議)。岸田文雄内閣(2021年10月4日発足)の下で2021年11月9日から、これまで20回開催された(2024年12月6日現在)。
構築会議はこの間、「中間報告」(2022年5月)、「報告書」(2022年12月)、そして「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)について」(2023年12月)をまとめている。その後、この改革工程のフォローアップを、いまも随時行っている。
2024年11月15日の第19回会議では、医療政策(地域医療構想、医師偏在対策、かかりつけ医機能など)が議題となった。そしてその日、私は、人口増加社会では民主主義はそれなりに機能するが、人口減少社会においては民主主義は機能不全に陥ることになるという話をした。
一方で、危機感を持った人口減少地域では中央では考えられないような医療のイノベーションが起きていて、かつての公共事業ではなく、社会保障こそが地方の持続可能性を高めるという私の仮説を現実化しようとしている。ここでは、それらの話を構築会議の議事録より抜粋してお伝えする。
医療政策において重要な「地域軸の視点」
いま、2022年末の構築会議の報告書には「地域軸の視点」という柱が立てられています。人口減少と高齢化の衝撃というのは日本全国に一様に現れるのではなくて、すさまじく地域性があります。
人口増加社会というのは過去にわれわれは長く経験していたわけですけれども、いち早く課題に直面する問題先進地域は、人口がいち早く増加して、先に都市化が進んでいる地域でした。
そうした社会では、国の政策のあり方を多数決で決めることを旨とする民主主義というのはそれなりに機能していました。
ところが、人口減少社会に転じると、問題先進地域は人口減少地域であって、人口が少ない地域になっていきます。そして、人口減少社会で国の政策を従来のように一国全体での多数決で決めていると、問題先進地域が抱える課題への対応が必ず遅れることになります。
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