日本の大学の医学部教育は何が問題なのか? 医療介護の一体改革に立ちはだかる大きな壁
2018年7月に成立した「医療法・医師法改正」。国会に提出された法案の文書を項目ごとに仕切るために挟まれている「仕切り紙」には、サーモンピンクの紙が使われていた。
その理由として、この法案には、サーモン(鮭)が強く関わっているらしい。
Homecoming Salmon仮説
この法律は、医師の偏在問題を扱う厚生労働省の「医師需給分科会」が議論してきた内容をまとめたものである。医師需給分科会では、homecoming salmon 仮説――鮭は生まれた母なる川に回帰するという鮭の母川回帰仮説――が、幾度となく話題になっていた。
WHO(世界保健機関)による遠隔地・地方での医療従事者確保のためのガイドラインでも、homecoming salmon 仮説に符号して、地方出身の学生を対象とした入学者の受け入れが強く推奨されている。
医療法・医師法改正では、医師偏在問題の長期的施策として、医学部の入学者の受け入れ時に、(その地域出身の)地元枠を用いることが前面に打ち出されている。そこには、homecoming salmon仮説が影響していることは明らかであり、法案を作成していた関係者たちが、思いを込めて法案の仕切り紙にサーモンピンク色の紙を用いたという話は、うなずけるものがある。
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