日本の大学の医学部教育は何が問題なのか? 医療介護の一体改革に立ちはだかる大きな壁
次は、医学部の入試に関する私の発言である(2016年3月31日第4回医師需給分科会)。
1県1医大構想と自由競争の帰結
都心の進学校の卒業生は、地方の医学部に自動車合宿免許を取得しに行くような気持ちで入学し、免許を取ったら都心に戻る。これでは1県1医大構想の理念はたまったものではなく、そういうことが起こっているだろうと予測して、医学部偏差値を調べたわけである。
そうした中、2008年から、医学部の期限を定めた臨時的な定員増として、県が自県の地域医療の担い手を育てるために奨学金を貸与する「地域枠」が導入されている。しかし、この地域枠がどのように運営されているのかに関しては、誰もフォローアップしておらず、その実態はよくわかっていなかった。
本来、文科省が把握しておくべきなのであるが、待てど暮らせどその様子を見せなかったので、おそらく業を煮やしたのであろう厚生労働省が、2018年9月~10月に初めて調査した。
すると、地域枠学生の選抜方法については大別して2種類ある――一般枠と別枠の募集定員を設ける「別枠方式」と、一般枠等と共通で選抜し、 事前または事後に地域枠学生を募集する「手挙げ方式」――ことがわかった。
そして地域枠については、別枠方式の場合、募集数の95%に奨学金の貸与実績があるのに対し、手挙げ方式だと69%しか貸与実績がなく、離脱の状況についても、別枠方式の場合、94%が義務履行すると推定されるのに対し、手挙げ方式だと84%しか義務履行されないという結論であった。
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