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「えぐい」「やばい」「すごい」に見る言葉の"世代交代" 全部ほぼ同じ意味だが"発展段階"が異なる!

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  • 石黒 圭 国立国語研究所教授、総合研究大学院大学教授、一橋大学大学院言語社会研究科連携教授
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三女:うちは若干引くくらいの神業とか見せられると「えぐい」って感じる。

:たとえば?

三女:大谷翔平の活躍ぶり!

:確かにえぐい……。

「えぐい」とは

「えぐい」という語は、山菜などを食べたときの独特の苦みのことを指す言葉です。あくが強く、口のなかに不快感がまとわりついて消えない感じです。

「えぐい」は、もともとよい意味ではなかったはずですが、そのインパクトの強さから現在では「ありえないほどすごい」という意味で使われ、「やばい」のインパクトが薄まるなかで「やばい」に取って代わりつつあります。

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強調を表す形容詞の用法は世代とともに変遷します。ぞっとするという意味だった「すごい」、危機的な状況にあることを表す「やばい」、強い不快感を表す「えぐい」、いずれも否定的な意味から始まります(第1期)、それが肯定的な意味に拡張を起こし、程度の甚だしいレアなケースにたいし、強いインパクトを表すようになります(第2期)。

「えぐい」はその時期に達しているように思われます。そして、インパクトがあれば、どのような事象でも、適用できるようになります(第3期)。これが「やばい」の段階です。

そして、意味の希薄化を起こし、世代を越えて安定的に使われる段階に達します(第4期)。「すごい」はこの段階に達していると言えそうです。その後は安定した使用が続くかもしれませんし、他の形容詞の台頭による衰退や消滅が待ち受けている可能性もありそうです。

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